Review

創薬:バイオ医薬品革新の新時代到来を告げる多特異的薬剤

Nature 580, 7803 doi: 10.1038/s41586-020-2168-1

現代のバイオ医薬品産業のルーツは20世紀初頭にさかのぼる。これは、現代の薬剤開発の歴史に残る出来事であるアスピリンの上市と同時期であった。原型となる創薬過程には、最初の70年間は大きな変化が見られなかったが、その後の50年間で薬剤分子の開発を一変させるような革新の波が連続して2度押し寄せた。1970年代の「合理的創薬」方法論の台頭(第2の波)と、続く1980年代の組換えタンパク質に基づく治療薬の発明(第3の波)である。そして今、多特異的薬剤の登場で第4の波が到来している。前向きに設計された多特異的薬剤の開発の成功は、標的に基づいた治療分子がどのように作用し得るのか、そしてそれらによって何が成し遂げられるのかについて、我々の考え方を書き換える可能性がある。本総説では、多特異性薬剤の主要な2つのクラスである、特定の作用部位で治療薬を増強する薬剤と、治療標的と生物学的エフェクターとを結び付ける薬剤について概説する。後者の薬剤クラスは、結合時に標的を直接調節しなくてはならないという制約を免れるという点で、現在は薬剤の標的にできないプロテオームの構成要素の利用を可能にするかもしれない。

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