Article

量子物理学:リュードベリ相互作用を介した捕捉イオン間のサブマイクロ秒エンタングリングゲート

Nature 580, 7803 doi: 10.1038/s41586-020-2152-9

大きな系に、コヒーレンス時間よりずっと短い時間スケールで量子エンタングルメントを生成することは、強力な量子シミュレーションや量子計算のカギである。捕捉イオンは、最も正確に制御され最もよく孤立した量子系の1つで、数個のイオンからなる結晶の振動運動を用いて、誤りの少ないエンタングルメントゲートが数十マイクロ秒以内に操作される。古典的コンピューターが扱いやすい複雑さのレベルを上回るためには、多数のイオンからなる結晶(大きなイオン結晶)で高速エンタングルメント操作を実現することが主要な課題である。極性分子系やリュードベリ原子系の強い双極子–双極子相互作用によってはるかに速いエンタングリングゲートが可能になるが、こうした系において、捕捉イオンに匹敵する、状態に依存しない安定した閉じ込めを実証する必要がある。今回我々は、これらの方法の利点を組み合わせ、捕捉したリュードベリイオン間の強い双極子相互作用を用いて、ゲート時間が 700 nsの2イオンエンタングリングゲートを実現したことについて報告する。我々は、このゲートを使って、78%の忠実度でベル状態を生成した。ゲートの誤りの原因が特定され、実験的に実現可能なパラメーターに対して0.2%以下という全誤り率が予測された。さらに我々は、100個のイオンからなる大きなイオン結晶において、運動モードとの残余結合が約10−4というゲートの誤りに寄与すると予測する。これによって、捕捉イオンの量子コンピューターと量子シミュレーターの速度を上げ、スケールアップするための方法が得られる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度