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構造生物学:ABC排出輸送体IrtABはマイコバクテリアのシデロフォアを取り込んで還元する

Nature 580, 7803 doi: 10.1038/s41586-020-2136-9

感染が命に関わることがある病原体の結核菌(Mycobacterium tuberculosis)では、細胞内複製が、宿主タンパク質からの鉄の取り出しに関わっている有機低分子シデロフォアの産生に依存している。結核菌は、2種類のシデロフォア、すなわち脂質に結合したマイコバクチンと水溶性のカルボキシマイコバクチンを産生する。機能研究から、鉄を結合したカルボキシマイコバクチンは、ATP結合カセット(ABC)輸送体であるIrtABにより細胞質に取り込まれることが明らかになっている。IrtABは、細胞質側にシデロフォア結合ドメインをもう1つ持つという特徴がある。しかし、IrtABに対して予想されたABC排出輸送体型の折りたたみは、一見したところ、その取り込み機能と相いれない。今回我々は、膜中で再構築されたIrtABが、マイコバクチンの取り込みを十分達成できることを示す。取り込まれたマイコバクチンは次いで、シデロフォア結合ドメインによって還元されて鉄放出が促進される。X線結晶学の手法とクライオ電子顕微鏡法による構造決定によって、IrtABがABC排出輸送体型の折りたたみを持つことが確認されただけでなく、IrtABの膜貫通領域中の風変わりな特徴も明らかになり、これによって部分的に崩れた内向きの基質結合空間が生じることが分かった。シデロフォア結合ドメインは、膜の脂質二重層の内側の単層の近傍に位置しており、膜に挿入されたマイコバクチンを還元することができる。ATPアーゼの酵素活性とin vivo増殖アッセイにより、IrtABは基質としてカルボキシマイコバクチンよりマイコバクチンの方を選好することが分かった。我々の研究により、マイコバクテリアで高度に専門化したシデロフォア取り込み装置として進化してきた、異例なABC排出輸送体についての知見がもたらされた。

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