免疫学:Z型核酸の感知はZBP1依存性のネクロトーシスと炎症を引き起こす
Nature 580, 7803 doi: 10.1038/s41586-020-2129-8
核酸の左巻き二重らせん構造であるZ-DNAとZ-RNAの生物学的機能は、ほとんど分かっていない。ZBP1(Z-DNA-binding protein 1;別名DAIまたはDLM-1)は、Z-DNAやZ-RNAに結合するZαドメインを2つ持つ核酸センサーである。ZBP1はウイルスの核酸を感知することで、一部のウイルスに対する宿主防御を仲介する。マウスでは、RIPK1の欠損やRIPK1のRHIM(RIP homotypic interaction motif)の変異は、ZBP1依存性のネクロトーシスと炎症を引き起こす。しかし、ウイルス感染がない場合にZBP1活性化を誘導する機構は分かっていない。今回我々は、ZBP1のZα依存的な内因性リガンドの感知は、ZBP1を介して、RHIM変異型RIPK1を発現する(Ripk1mR/mR)マウスでは周産期致死を、表皮特異的にRIPK1を欠損させた(RIPK1E-KO)マウスでは皮膚炎症を、腸上皮特異的にFADDを欠損させた(FADDIEC-KO)マウスでは大腸炎を誘導することを示す。これと一致して、カスパーゼ阻害剤で処理した繊維芽細胞や、RHIM変異型RIPK1を発現する繊維芽細胞では、ZBP1がネクロトーシスを誘導するためには機能的なZαドメインが必要であった。核外輸送を阻害すると、核内のRIPK3がZα依存的に活性化されて細胞死が引き起こされることから、ZBP1は核内のZ型核酸を認識している可能性が考えられる。また、ZBP1はZα依存的に細胞の二本鎖RNAに構成的に結合していることが分かった。表皮RNAにおいて、内在性レトロエレメントに由来する相補的なリードが検出されたことから、このようなレトロエレメント由来の二本鎖RNAがZαドメインのリガンドとして機能し、ZBP1の活性化を引き起こす可能性が示唆される。まとめると我々の結果は、ZBP1による内因性のZ型核酸の感知がRIPK3依存性のネクロトーシスと炎症を開始させる証拠を示しており、これが(RIPK1やCASP8に変異がある人では特に)慢性炎症性疾患発症の根底にある可能性がある。

