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免疫学:ゲノム不安定性による腸幹細胞のネクロトーシスが腸の炎症を引き起こす
Nature 580, 7803 doi: 10.1038/s41586-020-2127-x
炎症性腸疾患(IBD)の病因は、遺伝と環境の間の多元的な相互作用である。今回我々は、ヒストンH3リシン9のトリメチル化を仲介するヒストンメチルトランスフェラーゼであるSETDB1の欠損が、IBDの発病に関与していることを報告する。IBD患者ではSETDB1レベルが低下していること、そして腸幹細胞でSETDB1が減少しているマウスは回腸末端炎や大腸炎を自然発症することが分かった。SETDB1はゲノムの安定性を保護しているため、腸幹細胞におけるSETDB1の喪失によって、内在性レトロウイルス(長い反復配列を持つレトロウイルス様エレメントで、ヒトではゲノムのおよそ8%を占める)の抑制が解除された。発現上昇した内在性レトロウイルスによって作り出された過剰なウイルス模倣体は、ZBP1(Z-DNA-binding protein 1)依存性のネクロトーシスを引き起こし、これが上皮バリアの恒常性を不可逆的に破壊して、腸の炎症を促進した。IBD患者では、ゲノムの不安定性、反応性の内在性レトロウイルス、ZBP1の発現上昇、ネクロトーシスの全てが見られた。SETDB1欠損マウスにおいてRIP3を薬剤によって阻害すると治療効果が見られたことから、腸幹細胞のネクロトーシスを標的とすることが、重度のIBDの治療手法になり得ると考えられる。

