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構造生物学:マイコバクテリアのABC輸送体は親水性化合物の取り込みに関わっている
Nature 580, 7803 doi: 10.1038/s41586-020-2072-8
結核菌(Mycobacterium tuberculosis;Mtb)は偏性ヒト病原菌で、結核の原因菌である。MtbはビタミンB12(コバラミン)をde novo合成できるが、コバラミンの取り込みは結核の病原性に結び付けられている。Mtbには性質が解明されているコバラミン輸送体はコードされていないが、rv1819c遺伝子がコバラミンの取り込みに不可欠なことが判明している。Rv1819cは、本来的にはブレオマイシンのような抗菌ペプチドの輸送に関係するタンパク質であるとされているので、コバラミン取り込みに不可欠という結果とは両立しにくい。また、アミノ酸配列からRv1819cは細菌のATP結合カセット(ABC)排出輸送体型の折りたたみであることが示唆されており、コバラミンの取り込みはそのアミノ酸配列と矛盾しているように見える。今回我々はRv1819cの構造を報告する。この構造から、Rv1819cは実際にABC排出輸送体型の折りたたみを持つのに加えて、約7700 Å3の水で満たされた大型の空洞を持つことが明らかになった。この空洞によって、Rv1819cはブレオマイシンとコバラミンという無関係の親水性化合物を輸送することが可能となる。これらの構造に基づいて、我々はRv1819cが親水性分子を運ぶ多溶質輸送体であって、ABC輸送体ファミリーの多剤排出輸送体に類似していると考える。多剤排出輸送体は、多様な構造の疎水性化合物を細胞外に運び出す働きをしている。

