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発生生物学:多能性幹細胞でヒトの分節時計を再現

Nature 580, 7801 doi: 10.1038/s41586-020-2144-9

胚形成や器官形成のさまざまな局面のモデル化に、多能性幹細胞が使われることが増えてきている。中胚葉系の主な細胞系譜や細胞タイプへのin vitroでの誘導は最近大きく進歩しているが、ヒト中胚葉の発生とパターン形成のより複雑な特徴を実験的に再現できるモデル系は、ほとんど存在しない。今回我々は、誘導多能性幹細胞を使って未分節中胚葉とそこから派生する細胞系譜をin vitroで段階的に誘導し、ヒト体節形成のさまざまな面をモデル化した。我々はまず、ヒト分節時計のモデル化に焦点を絞った。分節時計は、制御された周期的な体節出現の基盤になると考えられている重要な生物学的概念で、脊椎動物の中軸骨格に分節パターンを生じさせる。HES7DKK1をはじめとするコア分節時計遺伝子の発現には振動が見られ、ヒトの分節時計の振動周期は約5時間であった。また、in vitroで誘導したヒト未分節中胚葉には、動的な移動波様の遺伝子発現の存在が確認された。さらに、多能性幹細胞から誘導したヒトとマウスの未分節中胚葉で振動している遺伝子を特定して比較を行ったところ、マウスとヒトの推定分節時計において、生物種に特異的あるいは共通する遺伝子群やシグナル伝達経路が明らかになった。次に我々は、脊椎肋骨異形成症のように椎骨の分節形成に異常のある患者で変異が報告されている遺伝子(HES7LFNGDLL3MESP2)を標的として、CRISPR–Cas9によるゲノム編集を行った。患者を模倣した誘導多能性幹細胞と患者由来の誘導多能性幹細胞を解析したところ、振動、同調、細胞分化特性に遺伝子特異的な変化が見られた。これらの知見によって、ヒトの分節時計についての洞察と共に、ヒトの中軸骨格形成に関連する疾患に関する手掛かりが得られた。

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