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核物理学:束縛核の基底状態における鏡映対称性の破れ

Nature 580, 7801 doi: 10.1038/s41586-020-2123-1

保存則は、物理系に存在するあらゆる対称性と深い関係がある。スピン対称性を示す原子内の電子と同様に、原子核内の中性子と陽子は、アイソバリックスピン(アイソスピン)t = 1/2の単一フェルミオンの射影と考えることができる。従って、全ての核状態は、全アイソバリックスピンTと射影Tzという、核反応や核崩壊でおおむね保存される2つの量によって特徴付けられる。鏡映対称性は、このアイソバリックスピンの定式化から現れる。すなわち、中性子の数と陽子の数を交換した核は鏡映核と呼ばれ、基底状態を含めて、全角運動量Jとパリティπで表される同一の一組の状態を持つはずである。本論文では、互いが互いの鏡映核であるストロンチウム73と臭素73において、束縛核の基底状態の鏡映対称性が破れていることを示す証拠を報告する。我々は、ストロンチウム73の基底状態と同一のルビジウム73のT = 3/2アイソバリック類似状態で観測された陽子放出パターンを説明するには、スピンをJπ = 5/2と指定する必要があることを見いだした。従って、ストロンチウム73の基底状態は、そのJπ = 1/2の鏡映である臭素73とは異なるはずである。今回の観測結果から、原子核において作用している荷電対称性を破る力に関する知見が得られる。

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