Article

代謝:グルカゴンはINSP3R1を介した肝臓での脂肪分解により糖新生を促す

Nature 579, 7798 doi: 10.1038/s41586-020-2074-6

門脈でのインスリン対グルカゴンの比率の低下が2型糖尿病における肝臓でのグルコース代謝の調節異常に重要な役割を担っていることはよく知られているが、グルカゴンが肝臓のグルコース産生とミトコンドリア酸化に影響を与える機構については、ほとんど分かっていない。今回我々は、グルカゴンが、肝臓での脂肪性トリグリセリドリパーゼの活性、脂肪分解、アセチルCoA含量、ピルビン酸カルボキシラーゼフラックスを増大させることで肝臓の糖新生を促進するとともに、ミトコンドリアの脂肪酸化も増加させること、そしてこれらは全てイノシトールトリスリン酸受容体1(INSP3R1)の亢進を介して起こることを示す。ラットとマウスにおいて、血漿中グルカゴン濃度の慢性的な生理的上昇は、肝臓のミトコンドリアの脂質酸化を増加させ、食餌による肝臓脂肪症やインスリン抵抗性を回復させた。しかし、Insp3r1(別名Itpr1)ノックアウトマウスでは、肝臓脂肪症や耐糖能異常を回復させるというグルカゴンの長期投与による作用が打ち消された。これらの結果は、グルカゴンの生物学的特性についての知見をもたらすとともに、INSP3R1が非アルコール性脂肪肝疾患や2型糖尿病の回復を目的とした治療において標的となり得ることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度