ナノスケール材料:Cu (111)表面におけるウエハースケールの単結晶単層六方晶窒化ホウ素の成長
Nature 579, 7798 doi: 10.1038/s41586-020-2009-2
極めて薄い二次元(2D)層状半導体材料には、集積回路のトランジスター数に関するムーアの法則を延命させる大きな可能性がある。2D半導体に関する主な課題の1つは、隣接誘電体から電荷散乱部位や電荷捕捉部位が形成されるのを回避することである。絶縁体ファンデルワールス材料である六方晶窒化ホウ素(hBN)の層は、優れた界面誘電体となり、電荷散乱を効率よく減少させる。最近の研究で、溶融金表面やバルク銅箔上での単結晶hBN膜の成長が示されている。しかし、溶融金の使用は、コストが高く、交差汚染が生じる上、工程制御やスケーラビリティーの問題も起こり得るため、産業的に望ましくない。銅箔は、ロール・ツー・ロール工程には適しているかもしれないが、ウエハー上での最先端の微細電子デバイス製造には適合しそうにない。従って、単結晶hBN膜をウエハー上に直接成長させる信頼性の高い方法があれば、産業での2D層状材料の幅広い応用に役立つと考えられる。Cu (111)金属表面に単層hBNを成長させるこれまでの試みでは単一配向を達成できず、その結果、層同士が合体して膜を形成する際に不要な粒界が生じていた。Cu (111)表面のような高対称性表面に単結晶hBNを成長させることは、理論的にも不可能だと広く考えられている。それにもかかわらず、今回我々は、2インチc面サファイアウエハー全面にわたって、Cu (111)薄膜上への単結晶単層hBNのエピタキシャル成長に成功したことを報告する。この予想外の結果は、第一原理計算によって裏付けられており、hBNがCu (111)ステップの側面に結合することによってエピタキシャル成長が促進されることを示唆しており、これが単一配向の単層hBNの形成を保証している。得られた単結晶hBNを二硫化モリブデンと二酸化ハフニウムの間に界面層として組み込んでボトムゲート構成にすると、トランジスターの電気的性能が向上した。ウエハースケールの単結晶hBNを作製する今回の信頼性の高い方法は、将来の2Dエレクトロニクスへの道を開く。

