Article

構造生物学:チノリモのフィコビリソームにおけるエネルギー転移の構造基盤

Nature 579, 7797 doi: 10.1038/s41586-020-2020-7

光合成生物は、環境に適応するために、さまざまな集光系を発達させてきた。フィコビリソームはシアノバクテリアや紅藻類に見られる大型の集光性タンパク質複合体だが、この複合体中の発色団のエネルギーが環境によってどのように調整されるのかは分かっていない。今回我々は、紅藻類の一種チノリモ(Porphydridium purpureum)から得られた14.7メガダルトンの半楕円形のフィコビリソームについて、クライオ電子顕微鏡構造を明らかにする。この複合体について、706個のタンパク質サブユニット(528個のフィコエリトリン、72個のフィコシアニン、46個のアロフィコシアニン、60個のリンカータンパク質)の構造が決定された。それに加えて、1598個の発色団(1430個のフィコエリトロビリン、48個のフィコウロビリン、120個のフィコシアノビリン分子)の構造が解明された。今回得られた構造は、別の紅藻類であるGriffithsia pacificaのフィコビリソームの構造に比べると分解能が著しく改善されているため、チノリモのフィコビリソーム系の正確な原子モデルを構築することができた。このモデルから、発色団の微小環境にリンカータンパク質がどのように影響するかが明らかになり、リンカータンパク質の芳香族アミノ酸と発色団との相互作用が、発色団のエネルギー状態を微調整する重要な要因であって、一方向性で効率の良いエネルギー転移が確実に起こるように働いている可能性が示唆された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度