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構造生物学:マラリア原虫の糖取り込みの分子基盤

Nature 578, 7794 doi: 10.1038/s41586-020-1963-z

糖取り込みの機構を明らかにするには、輸送体が糖の結合とゲート開閉を共役させる仕組みを分子レベルで解明する必要がある。哺乳類のグルコース輸送体(GLUT)はグルコースを専門に輸送するのに対して、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)由来のヘキソース輸送体PfHT1はグルコースとフルクトースの両方を輸送する能力を獲得していて、その効率はグルコースだけを運ぶ輸送体(GLUT3)やフルクトースだけを運ぶ輸送体(GLUT5)と同程度である。今回我々は、マラリア原虫での2種類の糖を区別しない輸送の分子基盤を確定するため、d-グルコースと複合体を形成したPfHT1の結晶構造を3.6 Å分解能で決定した。その結果、PfHT1の糖結合部位は、系統的に遠縁のGLUT3やGLUT5の構造と非常によく似ていることが分かった。にもかかわらず、GLUTの糖結合部位と一致するように改変されたPfHT1変異体では、糖選択性の変化が見られなかった。PfHT1の細胞外にあって基質に対するゲート開閉に関わるヘリックスTM7bは、完全に閉じたコンホメーションに配置されており、糖結合とゲート開閉が共役する仕組みについての他にない知見が得られた。TM7bとTM1(d-グルコースから約15 Å離れた位置にある)の間の極性による接触が、d-グルコースに直接配位する残基と同程度に輸送に対して重要であることが見いだされ、これによって糖結合とゲート開閉の間に強いアロステリックな共役があることが実証された。PfHT1が複数の基質を結合できる性質を獲得したのは、その糖結合部位の修飾によってではなく、基質–ゲート開閉に関わる動力学的性質を変化させたことによってであると、我々は結論する。

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