Article
細胞生物学:皮質オルガノイドにおける細胞ストレスは分子サブタイプの指定を障害する
Nature 578, 7793 doi: 10.1038/s41586-020-1962-0
皮質オルガノイドは、自己組織化された三次元培養物で、発生中のヒト大脳皮質の特徴をモデル化したものである。しかし、オルガノイドモデルの忠実度は分かっていない。今回我々は、発生期や皮質領域が異なる個々のヒト初代皮質細胞についてトランスクリプトームを解析した。その結果、皮質の発生は、前駆細胞の成熟軌跡、さまざまな細胞サブタイプの出現、新生ニューロンの領域指定によって特徴付けられることが分かった。対照的に、オルガノイドは広範なクラスの細胞を含むが、細胞サブタイプごとのアイデンティティーや前駆細胞の適切な成熟を再現しない。皮質領域の分子シグネチャーはオルガノイドのニューロンに出現するものの、空間的に分離されていない。オルガノイドは、細胞のストレス経路も異所性に活性化し、これによって細胞タイプの指定が障害された。しかし、オルガノイドのストレスやサブタイプの異常は、マウス皮質への移植によって軽減された。まとめると、これらのデータセットと解析ツールから、ヒト脳発生モデルとしての皮質オルガノイドの正確度を評価および改善するための枠組みがもたらされる。

