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原子分子物理学:量子論理を使った多価イオンのコヒーレントレーザー分光研究
Nature 578, 7793 doi: 10.1038/s41586-020-1959-8
原子系の高精度分光は、基本的な相互作用と対称性を調べる極めて重要な手段である。最近、多価イオンによって、標準模型を超える物理学の高感度な検証や高精度の原子時計の実現が可能になると提唱されている。これは、外殻電子の結合エネルギーが高いために、多価イオンが基礎物理学的な性質に対して極めて敏感である一方、外部摂動には鈍感であることによる。しかし、こうした着想の実行は、これまでに達成された分光精度が低い(100万分の1のオーダー)ために妨げられている。今回我々は、捕捉した多価アルゴンイオンをこれまでに報告されている最低温度まで冷却し、それらのイオンをコヒーレントレーザー分光法を使って調べることで、8桁の精度向上を達成した。我々は、量子論理分光法を使って、波長441 nmにおいて40Ar13+の禁制光学遷移を探査し、その励起状態寿命とg因子を測定した。今回の成果は、量子情報処理に用いる普遍的な原子系として、周波数標準として、そして暗黒物質候補の探索や基本対称性の破れなどの基礎物理学の極めて感度の高い検証における、多価イオンの可能性を開くものである。

