構造生物学:直交性の化学的相互作用を介したタンパク質多面体の構築
Nature 578, 7793 doi: 10.1038/s41586-019-1928-2
多くのタンパク質は、対称的なホモオリゴマー、もしくはホモポリマーを自然に形成して存在している。タンパク質のこのような集合によってその構造的、機能的特性が生じることは、生体分子の設計における多様な試みのヒントとなってきた。リボソームによって合成されたタンパク質は、本来的に非対称である。つまり、これらのタンパク質は、高次構造形成に必要なさまざまな対称的要素が生じるように、選択的に結合する複数の表面区画を獲得しなければならない。これはタンパク質を設計する際の厄介な作業である。今回我々は、無機化学の手法を用いてこの問題に取り組んだ。この手法では、「ワンポット」法による軟質金属イオンと硬質金属イオンの選択的配位によって、タンパク質–タンパク質相互作用の複数の様式と対称性が同時に達成される。単量体タンパク質(プロトマー)を、生物から着想を得たヒドロキサム酸基と亜鉛結合モチーフによって適切に修飾すると、Fe3+とZn2+の配位が同時に起こることを介して単量体が集合し、十二量体ケージと六量体ケージが別々に生成する。このケージは、天然の多面体タンパク質構造とよく似ており、大きな開口部のない密に詰め込まれた殻構造を持つという点で、設計された系の中では、我々の知る限りで非常に独自性が高い。同時に、このケージはさまざまな刺激に応答して集合したり解離したりでき、それはごく小さいタンパク質間結合フットプリント上にヘテロバイメタリック構築体があるからである。このようなタンパク質ケージは、化学量論的には[2Fe:9Zn:6プロトマー]から[8Fe:21Zn:12プロトマー]の範囲にわたっていて、設計によって得られたタンパク質集合体(もしくは無機配位錯体)としては、組成が最も複雑なものに相当する。

