ナノスケールデバイス:ハードウエアで完全実装したメモリスター畳み込みニューラルネットワーク
Nature 577, 7792 doi: 10.1038/s41586-020-1942-4
メモリスターによって可能になるニューロモルフィック・コンピューティングシステムは、ニューラルネットワークを訓練するための高速でエネルギー効率の良い方法をもたらす。しかし、画像認識の最も重要なモデルの1つである畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の、メモリスタークロスバー(各交点にメモリスターデバイスがあるクロスポイントアレイ)を使ったハードウエアでの完全実装は、まだ行われていない。さらに、このデバイスは、歩留まりが低く、ばらつきが大きいなど特性が理想的でないため、ソフトウエアに匹敵する結果を実現するのは非常に困難である。本論文では、2048セルメモリスターアレイを8個集積して並列計算効率を改善した、歩留まりが高く高性能で均一なメモリスタークロスバーアレイを作製し、CNNを実装したことを報告する。さらに我々は、デバイスの欠陥に適応してシステム全体の性能を改善する、効果的なハイブリッド訓練法を提案する。我々は、5層のメモリスターを用いたCNNを構築し、MNIST画像認識を行って、96%を超える高い精度を達成した。入力を共有したさまざまカーネルを使った並列畳み込みに加えて、異なる入力を並列処理するための、メモリスターアレイ内での多数の同一カーネルの複製も実証された。メモリスターを使った今回のCNNニューロモルフィックシステムは、最新のグラフィックスプロセッシングユニットを使ったものと比べてエネルギー効率が2桁以上高く、残差ニューラルネットワークなどのより大きなネットワークへ拡張できることが示された。今回の結果によって、深層ニューラルネットワークとエッジコンピューティングに対する、メモリスターを使った実行可能な非フォン・ノイマン型ハードウエアソリューションが可能になると予想される。

