構造生物学:転写コアクチベーターSAGAの構造
Nature 577, 7792 doi: 10.1038/s41586-020-1933-5
RNAポリメラーゼIIによる遺伝子転写は、コアクチベーター複合体SAGA(Spt–Ada–Gcn5–アセチルトランスフェラーゼ)と転写因子IID(TFIID)を集合させる活性化タンパク質により調節されている。SAGAは調節された転写全てに必要とされ、真核生物で保存されている。SAGAは4つのモジュール、すなわち活性化因子が結合するTra1モジュール、コアモジュール、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)モジュール、ヒストン脱ユビキチン化(DUB)モジュールを含んでいる。以前の複数の研究によりSAGAの部分構造が得られているが、中央のコアモジュールの構造は知られていない。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のSAGAのクライオ電子顕微鏡構造を示し、コアモジュールの構造を3.3 Åの分解能で解いた。コアモジュールは、サブユニットのTaf5、Sgf73およびSpt20と、ヒストン八量体様フォールドの部分から構成されている。八量体様フォールド部分は、ヘテロ二量体であるTaf6–Taf9、Taf10–Spt7、Taf12–Ada1、そしてSpt3中の2つのヒストンフォールドドメインからなる。Spt3とそれに隣接するサブユニットSpt8はTATAボックス結合タンパク質(TBP)と相互作用している。八量体様フォールド部分とそのTBP相互作用部位はTFIIDと似ているが、Taf5とTaf6のHEATドメインがとっているコンホメーションは異なっている。Taf12とSpt20はTra1モジュールと柔軟に結合しているが、Sgf73はDUBモジュールをつなぎ止めている。ヌクレオソームがSAGAに結合すると、HATモジュールとDUBモジュールがコアモジュールの表面からずれ、DUBモジュールがユビキチン化したヌクレオソームの面の1つに結合できるようになる。

