Article
物性物理学:双対性と非アーベル的な構造
Nature 577, 7792 doi: 10.1038/s41586-020-1932-6
双対性は、ほとんど全ての物理学分野において一見関係のない系の間の結び付きを明らかにする数学的写像である。双対変換によってそれ自身へ写像された系は、自己双対と呼ばれ、臨界点におけるイジング磁性体のスケール不変性など、注目すべき特性を示す。本論文では、双対性によってどのように力学的行列(すなわちハミルトニアン)の対称性が高まり、標準的な群論解析から逃れた創発特性を持つメタマテリアルの設計が可能になるかを示す。我々は、実例として、崩壊機構によって形状を変える再構成可能な力学的構造である、ねじれたカゴメ格子を検討した。その結果、この機構に従う異なる構成のペアが、同じ振動スペクトルとそれに関連する弾性係数を示すことが観測された。我々は、こうした不可解な特性が、力学的な臨界点の両側における構成ペア間の双対性に起因することを示す。この臨界点は、空間対称性が存在しなくても弾性が等方的な自己双対構造と、ブリルアンゾーン全体にわたって二重縮退したスペクトルに対応する。このスペクトル縮退は、フェルミオンの時間反転不変性を自己双対点に現れる隠れた対称性で置き換えた、クラマースの定理の一形式に由来する。自己双対系の基準モードは非アーベル的な幾何学位相を示し、この位相が波束の半古典的な伝播に影響を及ぼすため、非可換な力学的応答が生じる。今回の結果は、フォノンが運ぶ合成スピンのオンザフライ操作が可能になれば、ホロノミック計算や力学的なスピントロニクスに有望である。

