計算生物学:深層学習の潜在能力を用いた改良型のタンパク質構造予測法
Nature 577, 7792 doi: 10.1038/s41586-019-1923-7
タンパク質の構造予測は、タンパク質の三次元の形状をそのアミノ酸配列から決定するのに使うことができる。タンパク質の構造は、その機能の大部分を決めてしまうので、この問題は基本的に重要だが、実験によってタンパク質の構造を決めるのは難しい場合がある。最近では遺伝情報の活用によって、構造予測はかなり進歩している。相同なアミノ酸配列の共変動を解析することにより、どのアミノ酸残基が接触しているかを推測できるので、これはタンパク質の構造予測の助けになる。今回我々は、ニューラルネットワークを訓練することで残基対の間の距離が正確に予測できるようになり、構造に関して接触の予測よりも多くの情報が導かれることを示す。この情報を用いて、我々はタンパク質の形状を正確に表すことができる平均力ポテンシャルを構築した。得られたポテンシャルを単純な最急降下アルゴリズムによって最適化すると、複雑なサンプリング手順を経ることなく、構造を構築できることが分かった。こうして作られたシステムはAlphaFoldと名付けられ、相同配列が比較的少ない配列であっても、高い精度が得られる。直近のタンパク質構造予測技術評価会議(CASP13;この分野の最新技術を盲検評価するコンテスト)で、AlphaFoldは43個のフリーモデリングドメインのうちの24個で高度に正確な構造[テンプレートモデリング(TM)スコアで0.7かそれ以上]を作出した。これに次ぐ成績を収めた手法はサンプリングと接触情報を使うもので、このような高精度を達成できたのは43個のうち14個だけだった。AlphaFoldは、タンパク質構造予測が大幅に前進したことを示している。これほど精度が高まれば、相同なタンパク質の構造が実験により決定されていない場合は特に、機能や機能異常に関する手掛かりが得られるだろうと我々は期待する。

