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分子生物学:ヌクレオソームを操作中のFACTを捉える

Nature 577, 7790 doi: 10.1038/s41586-019-1820-0

真核生物では、ゲノムDNAが組織化されてヌクレオソームになることが、DNAが関係するあらゆる過程に大きな影響を及ぼす。FACT(facilitates chromatin transcription)と呼ばれているヒストンシャペロンは、SPT16とSSRP1というサブユニットで構成され、遺伝子転写やDNAの複製・修復の際にヌクレオソームの解体と再構築の両方を促進する。しかし、FACTがこのような正反対の結果を引き起こす仕組みは解明されていない。本論文では、部分的に組み立てられた状態のヌクレオソーム(サブヌクレオソーム)と複合体を形成しているヒトFACTの2つのクライオ電子顕微鏡構造を、裏付けとなる生化学データ、水素–重水素交換データと共に報告する。FACTはヌクレオソームDNAおよびヒストンバリアント全てと広範囲にわたって相互作用していることが分かった。FACTの広いDNA結合表面は、その2つのサブユニット両方のカルボキシ末端ドメインによって保護されているように見える。こうした抑制はH2A–H2Bとの結合によって解除され、FACT–H2A–H2BはDNAとヒストンH3、H4を含む複合体に結合できるようになる。SPT16はヌクレオソームDNAと結合し、DNAの代わりとなって、そのカルボキシ末端ドメインを介してH2A–H2Bをつなぎ止める。SSRP1もDNAとの結合に関わっていて、第2のH2A–H2Bが存在するか否かによって2通りのコンホメーションをとることができる。今回のデータから、ポリメラーゼが通過する際にFACTがクロマチンの完全性を維持する仕組みとして、H2A–H2B二量体の除去を促進し、中間体であるサブヌクレオソーム状態を安定化し、ヌクレオソームの再構築を促進するという、説得力のある機構が考えられる。これらの知見は、FACTの持つ多くの役割に関する矛盾を解決し、ヒストンシャペロンとヌクレオソームとの間の動的な相互作用をはっきり示している。

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