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ナノスケール材料:極めて平坦なグラフェン膜のプロトンアシスト成長

Nature 577, 7789 doi: 10.1038/s41586-019-1870-3

化学気相成長法によって成長させたグラフェン膜には、フレキシブルエレクトロニクスや高周波トランジスターなどの応用に有望な類のない物理特性や化学特性がある。しかし、基板と強く結合しているため成長時に常に皺ができ、この皺によってグラフェン膜の大規模な均一性が制限される。今回我々は、皺のない極めて平坦なグラフェン膜を成長させるための、プロトンアシスト化学気相成長法を開発した。プロトンの侵入と再結合による水素の形成という今回の方法は、従来の化学気相成長法でできた皺を減らすこともできる。ファンデルワールス相互作用が分断され、おそらく成長表面からの距離がさらに大きくなるため、一部の皺が完全になくなった。この方法で成長させたままのグラフェン膜の電子バンド構造は、V字形のディラックコーンと、原子面内や原子ステップをまたぐ線形の分散関係を示し、これは、グラフェン膜が基板から分離していることを裏付けている。このグラフェン膜の極めて平坦な性質によって、湿式転写過程後の、膜表面の清浄が容易になる。線幅が100 μmのデバイスでは、室温でもロバストな量子ホール効果が現れた。プロトンアシスト化学気相成長法によって成長させたグラフェン膜は、その固有の性能をほぼ保持しているはずであり、今回の方法は、他のナノ材料のひずみエンジニアリングやドーピングエンジニアリングに容易に一般化できると考えられる。

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