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遺伝学:ヒト潰瘍性大腸炎の上皮における炎症遺伝子の体細胞変異

Nature 577, 7789 doi: 10.1038/s41586-019-1844-5

ヒトの正常な組織では、加齢に伴って、がん変異を持つ体細胞クローンが増殖する。しかし、そのようなクローンの増殖が非腫瘍性の大腸で起こっているかどうかは分かっていない。今回我々は、ヒト大腸の76のクローン化オルガノイドについての全エキソーム塩基配列解析データを用いて、潰瘍性大腸炎患者の炎症を起こした上皮における体細胞変異発生の特徴的なパターンを特定した。このような上皮では、NFKBIZZC3H12APIGRなど、IL-17シグナル伝達に関係がある多数の遺伝子に体細胞変異が蓄積していた。これらの遺伝子は、大腸がんではほとんど変異が見られない遺伝子である。ターゲットシークエンス解析から、IL-17シグナル伝達に関係がある変異が広く見られることが確認された。大腸オルガノイドにおけるCRISPRによる非バイアスノックアウトスクリーニングから、これらの変異によって、IL-17Aが誘導するアポトーシス促進応答に抵抗性が生じることが明らかになった。これらの遺伝的変異の一部はマウスの実験的大腸炎を増悪させることが知られており、また、ヒト大腸上皮の体細胞変異発生は炎症過程と因果関係がある可能性がある。今回の知見から、過酷な微小環境に適応する遺伝的全体像が明らかになり、またそれが潰瘍性大腸炎の病因に関与する可能性があることが示された。

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