がん:HBO1は白血病幹細胞の維持に必要である
Nature 577, 7789 doi: 10.1038/s41586-019-1835-6
急性骨髄性白血病(AML)は、分化の阻止や悪性自己複製の増加を引き起こす転写的調節異常を特徴とする不均一な疾患である。このようなAMLの特性を変えることを目的とした、さまざまなエピジェネティック療法が臨床試験に進んでいるが、白血病幹細胞(LSC)を効果的に根絶できないため、ほとんどの療法がわずかな効果しか得られていない。今回我々は、LSCが持つ新規の依存性を特異的に特定するために、特殊なex vivo LSCマウスモデルにおいて、クロマチン調節因子を標的とする短鎖ヘアピンRNAの特注のライブラリーをスクリーニングした。その結果、MYSTアセチルトランスフェラーゼであるHBO1(別名KAT7あるいはMYST2)と、HBO1タンパク質複合体のいくつかの既知のメンバーが、LSC維持に関わる重要な調節因子であることが明らかになった。我々は、CRISPRドメインスクリーニングと定量的質量分析を用いて、HBO1のヒストンアセチルトランスフェラーゼドメインが、ヒストンH3のK14残基のアセチル化に必須であることを突き止めた。K14がアセチル化されたH3(H3K14ac)は、RNAポリメラーゼIIの処理能力を高め、LSCの機能的特性の維持を助けるHoxa9やHoxa10などの主要な遺伝子の高発現を持続させる。我々は、この依存性を治療に利用するため、HBO1に対する非常に強力な低分子阻害剤を開発して、この分子がアセチルCoAに対する競合的類似体としての活性様式を持つことを実証した。HBO1の阻害は、我々の遺伝学的データの表現型を模写し、広範囲なヒト細胞株や患者由来の初代AML細胞で有効性を示した。AMLの治療標的に関するこれらの生物学的、構造的、化学的手掛かりは、今回の知見の臨床応用を可能にするだろう。

