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神経科学:前頭皮質ニューロンの各タイプは単一の意思決定要因を範疇分けして符号化している

Nature 576, 7787 doi: 10.1038/s41586-019-1816-9

多くの皮質領域で、個々のニューロンは、当該領域の機能に対応した環境または自身の体の、特定の識別可能な特徴を符号化していることが知られている。しかし、認知機能に関わる前頭皮質では、神経応答は不可解な複雑さを呈し、知覚、運動、その他の課題関連変数を、一見無秩序に混合しているかのようである。この複雑さから、前頭皮質の個々のニューロンの神経表現は、無規則に混合していて、神経集団のレベルでしか理解できない、という示唆につながった。しかし今回我々は、ラットの眼窩前頭皮質(OFC)の神経活動が高度に構造化されていることを示す。つまり、単一ニューロンの活動は、選択行動を説明する計算論モデル中の個々の変数に相関して変動していることが分かった。さまざまな行動が可能な中での神経応答の特徴を解析するため、知覚と価値関連意思決定とを結び付けた行動課題を行うよう、ラットを訓練した。無前提でモデルに依存しないクラスター解析を行ったところ、OFCニューロンは複数の異なるグループに分けられ、それぞれが課題変数空間内での特定の応答プロファイルを備えていた。この範疇分けされた応答プロファイルに、選択行動の単純なモデルを当てはめると、それぞれのプロファイルは、特定の意思決定要因(例えば決定の確信度など)と定量的に対応していることが分かった。さらに、神経結合で定義された細胞タイプ、線条体に投射するOFCニューロンが、選択的で時間的に持続した単一の意思決定要因(統合価値)を符号化していることも分かった。従って、前頭皮質のニューロンも、他領域のニューロンと同じく、当該領域の機能に対応した特徴について、疎で過完備な神経表現を生成しており、その情報を、行動を支える下流領域に選択的に送っていると考えられる。

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