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創薬:グラム陰性細菌に対するキメラペプチド模倣体抗生物質

Nature 576, 7787 doi: 10.1038/s41586-019-1665-6

カルバペネムや第三世代のセファロスポリンに抵抗性のグラム陰性病原菌に対して、最後の手段となる抗生物質はその効力をほとんど失っていて、そのような耐性病原菌に対する新しい抗生物質が緊急に必要とされている。今回我々は、天然物由来の分子骨格から着想を得た、新しいクラスの合成抗生物質について報告する。このようなキメラ抗生物質は、天然物のポリミキシンやコリスチンのファミリーに見られる大員環に結合したβヘアピン構造を示す大環状ペプチドを含んでいる。これらには殺菌作用があり、作用機序として、リポ多糖と、BAM(β-barrel folding complex)の主な構成要素(BamA)の両方との結合が関わっている。BamAはβバレルタンパク質の折りたたみとグラム陰性細菌の外膜への挿入に必要とされる。徹底的に最適化された誘導体群は、ESKAPE病原菌の全てのグラム陰性細菌を含む、多剤耐性病原菌に対して強力な活性を示した。これらの誘導体は、in vitroおよびin vivoの両方で良好な薬剤特性を示すとともに、コリスチン抵抗性も克服した。このリード候補は、現在、前臨床の毒性試験中で、それが成功すれば、臨床試験に進むことができ、これによってグラム陰性病原菌による致死的な感染に対処できる可能性があるため、大きなアンメット・メディカル・ニーズを満たすことができるかもしれない。

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