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発生生物学:神経堤調節回路の段階的獲得による新しい頭部の進化
Nature 574, 7780 doi: 10.1038/s41586-019-1691-4
胚性幹細胞の集団である神経堤は、脊椎動物進化上の新機軸であり、脊椎動物に捕食行動を付与した「新しい頭部」のカギとなる要素の1つと考えられてきた。今回我々は、神経堤細胞の進化が脊椎動物のボディープランにどのように影響を与えたかを調べるため、無顎脊椎動物のウミヤツメ(Petromyzon marinus)で、前後軸に沿った神経堤の発生を制御する分子回路を解析した。遺伝子発現解析の結果、ウミヤツメの神経堤の頭部細胞亜集団は、羊膜類の頭部神経堤に特有なある転写回路の大部分の要素を欠いており、非頭部の神経堤細胞亜集団に頭蓋顔面軟骨の形成能を与えていることが分かった。これと符合して、階層クラスター解析では、ウミヤツメの頭部神経堤の転写プロファイルは羊膜類の体幹神経堤により近いことが明らかになった。特筆すべきことに、ガンギエイの一種Leucoraja erinaceaやゼブラフィッシュの胚の頭部神経堤の解析から、頭部神経堤に特有な転写回路は、顎口類の神経堤にネットワークの要素が段階的に加わっていくことにより生じ、それが次に頭側領域に限定されるようになることが分かった。今回の結果は、脊椎動物系統の基部にある祖先的な神経堤は、体幹様のアイデンティティーを持つことを示している。我々は、体軸特異的調節回路の累加的な集積を介して頭部神経堤が生じたことにより、脊椎動物の進化の中で新しい頭部が精緻なものになり得たと考える。

