気候科学:鮮新世における海水準変動の振幅と起源
Nature 574, 7777 doi: 10.1038/s41586-019-1619-z
地球は現在、300万年以上前の「中期鮮新世温暖期」に最後に存在した気候へと向かっている。当時は、大気中の二酸化炭素の濃度は約400 ppmで、軌道強制力に応答して全球の海水準が振動しており、全球平均海水準(GMSL)の最大値は、現在の値よりも約20 m高かった可能性がある。この規模の海水準上昇をもたらすには、グリーンランド氷床、西南極氷床、東南極の海洋性氷床の広範囲にわたる後退あるいは崩壊が必要である。しかし、氷期–間氷期サイクルにおける海水準変動の相対的な振幅は、まだあまり絞り込まれていない。我々は、この課題に取り組むために、現代の波による堆積物輸送と水深の間の理論的な関係を較正し、その手法をニュージーランドのワンガヌイ盆地から得られた厚さ800 mの鮮新世の連続的な浅海堆積物における粒子のサイズに適用した。この手法で得られた水深の変動からは、地殻変動による沈降を補正した後、相対的海水準(RSL)の周期的な変動が得られた。本論文では、中期から後期の鮮新世(約330万〜250万年前)の氷期–間氷期サイクルにわたって、海水準が平均して13 ± 5 m変動していたことを示す。得られた記録は、深海の酸素同位体記録から導かれる全球の氷の代理指標とは関係がなく、海水準サイクルは、離心率の変動による330万〜270万年前の軌道歳差によって調整される、南極大陸の日射の2万年周期の変化と一致している。従って、氷床が南極大陸において安定化し、北半球において増大するため、海水準変動は、地軸の傾きの4万1000年周期のサイクルによって調整される。厳密には、GMSLの変化の絶対値ではなく、RSLの変化の振幅が得られた。一方、氷河性地殻均衡に基づくRSLの変化のシミュレーションでは、今回の記録は、地球の中心に対して記録されていないGMSLとして定義されるユースタティック海水準に近いことを示している。しかしながら、今回の見積もりによって、保守的な仮定の下では、鮮新世の最大海水準上昇が25 m未満に限定され、今世紀に予測されている気候条件の下での極域の氷量の変動に新たな制約条件が与えられた。

