分子生物学:RNAスプライシングとエピジェネティック調節で起こる協調的な変化が白血病発生を促す
Nature 574, 7777 doi: 10.1038/s41586-019-1618-0
転写とmRNA前駆体スプライシングは遺伝子発現の制御における主要な段階であり、これらの過程をそれぞれ調節する遺伝子の変異は白血病で広く見られる。白血病では、エピジェネティック調節とスプライシングに影響する変異が重複して起きていることが多いにもかかわらず、これらの過程が互いに影響し合って白血病発生を促す仕組みは分かっておらず、我々の知る限りでは、RNAスプライシング因子の変異が白血病のイニシエーションに関わることの機能的証拠はない。今回我々は、急性骨髄性白血病患者982人のトランスクリプトームを解析し、IDH2とSRSF2の変異が高頻度で重複しており、これらはエピゲノムとRNAスプライシングへの協調的な影響を介して白血病発生を一緒に促すことを明らかにした。IDH2またはSRSF2のどちらかに生じた変異は、それぞれ異なるスプライシング変化を引き起こすが、変異型SRSF2のスプライシングへの影響は、変異型IDH2を共発現させると変化し、どちらかの変異が単独で起こった場合に比べてより大規模なスプライシング変化が生じる。この結果と一致して、変異型IDH2と変異型SRSF2の共発現は、in vivoで増殖性が見られる致死的な骨髄異形成を引き起こし、どちらかの変異単独の場合には見られない様式で自己複製を増強した。IDH2とSRSF2の二重変異細胞では異常なスプライシングが見られ、インテグレーター複合体の構成因子であるINTS3の発現が低下し、それと一致して、停止しているRNAポリメラーゼII(RNAPII)が増加した。INTS3の異常なスプライシングは、変異型IDH2と協調して白血病発生を助長し、このスプライシング異常はINTS3 mRNA中のシスエレメントへの変異型SRSF2の結合とINTS3のDNAメチル化増加に依存していた。これらのデータは、一部の白血病でのエピジェネティック状態変化とスプライシング変化の間で起こる病因性クロストークの存在を明らかにしたもので、スプライシング因子の変異が骨髄性悪性腫瘍の発生を促すことの機能的証拠を提示しており、またスプライソソームの変化がIDH2変異型白血病発生のメディエーターであることを示している。

