Letter

量子物理学:アナログ量子化学シミュレーション

Nature 574, 7777 doi: 10.1038/s41586-019-1614-4

分子の電子構造を高い精度で計算することは、量子化学分野の中心的課題である。近似手法の成功にもかかわらず、従来のコンピューターでこの問題に厳密に取り組むことは依然として難題である。量子コンピューターを使って化学問題を解く理論的な試みや実験的な試みはいくつか行われており、初期の原理証明がデジタル的に実現されている。デジタル的な方法に代わる魅力的な代替法はアナログ量子シミュレーションであり、これはスケーラブルな量子コンピューターを必要とせず、すでに凝縮系物理学の問題解決への応用に成功している。しかし、それに必要なクーロン相互作用を生み出す方法が知られていないため、既存のセットアップや計画されているセットアップの全てが量子化学問題に使えるとは限らない。今回我々は、光格子中の極低温原子と共振器量子電磁力学という2つの技術の周到な組み合わせに依存する、量子化学問題のアナログシミュレーション法について報告する。提案するシミュレーターでは、光学ポテンシャル中をホッピングするフェルミ原子が電子の役割を果たし、追加の光学ポテンシャルが原子核引力をもたらすとともに、モット絶縁体における単一スピン励起が共振器モードの助けを借りて電子のクーロン反発力を媒介する。我々は、シミュレーターの操作条件を決定し、単純な分子を用いて試験を行った。今回の研究は、アナログ量子シミュレーションによって分子の電子構造を効率よく計算する可能性を開くものである。

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