構造生物学:セントロメアのヌクレオソーム上に組み立てられた内側の動原体であるCCAN複合体の構造
Nature 574, 7777 doi: 10.1038/s41586-019-1609-1
真核生物では、有糸分裂と減数分裂で染色体が正確に分離されることが、ゲノムの安定性を維持し、異数性を防いでいる。動原体は大型のタンパク質複合体で、特殊なCenp-Aヌクレオソーム上で組み立てられることにより、セントロメアのクロマチンと有糸分裂紡錘体の微小管をつなぐように機能している。脊椎動物の染色体のセントロメアは数百万個のDNA塩基対で構成され、複数の微小管と結合するが、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の単純な点状のセントロメアは、それぞれ決まった微小管と結合する。出芽酵母の16本の染色体はどれも、1個のCenp-Aヌクレオソーム(Cenp-ANuc)を使って完全な動原体を組み立て、各Cenp-ANucは対応するセントロメアの真ん中に位置する。内側の動原体モジュールはセントロメアのクロマチンと、外側の動原体モジュールは微小管との相互作用をそれぞれ担っている。今回我々は、出芽酵母の内側動原体モジュール、すなわちCCAN(constitutive centromere associated network)複合体のクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を報告する。この複合体は、Cenp-Aヌクレオソーム上に組み立てられている(CCAN–Cenp-ANuc)。得られた構造から、CCANを構成するサブ複合体の相互依存性が説明され、CCANがY字形に開いてCenp-ANucを受け入れ、特定のCCANサブユニットがヌクレオソームDNAとヒストンサブユニットに接触できるようになる仕組みが明らかになった。Cenp-ANucの両末端の、ヌクレオソームが外れたDNA二重らせんとの相互作用は、主としてCenp-L–Cenp-Nサブ複合体のDNA結合溝を介して行われている。これらの相互作用を破壊すると、Cenp-ANuc上でのCCANの組み立てが起こらなくなる。これらのデータは、CCANがCenp-Aヌクレオソームを認識する機構を明らかにし、CCANが外側動原体組み立てのプラットフォームとして働いて、染色体分離に向けセントロメアと有糸分裂紡錘体とを連結する仕組みを示している。

