腫瘍生物学:菌類マイコバイオームはMBLの活性化を介して膵臓の発がんを促進する
Nature 574, 7777 doi: 10.1038/s41586-019-1608-2
細菌のディスバイオーシスは、大腸がんや肝臓がんなどの悪性腫瘍の発がんを伴い、最近では膵管腺がん(PDA)発症への関与が示されている。しかし、マイコバイオームについては、腫瘍形成への関与は明確になっていない。今回我々は、菌類が腸管腔から膵臓に移動し、これがPDAの発症に関係していることを示す。ヒトやマウスモデルのPDA腫瘍では、正常な膵臓組織と比較して、菌類が約3000倍増加していた。アルファ多様性およびベータ多様性の指標に基づくと、このPDA 腫瘍のマイコバイオーム組成は、腸や正常膵臓の組成とは異なっていた。具体的には、マウスとヒトのどちらでも、PDA腫瘍に浸潤した菌類群集は、マラセジア属(Malassezia)の種が顕著に豊富であった。緩徐進行性PDAモデルや侵襲性PDAモデルにおけるマイコバイオームの除去は腫瘍増殖を防ぎ、そこにマラセチア属の種を再定着させると発がんが加速されたが、カンジダ属(Candida)、サッカロミケス属(Saccharomyces)あるいはコウジカビ属(Aspergillus)の種を再定着させても腫瘍形成には影響しなかった。また、マンノース結合レクチン(MBL)の連結(菌類細胞壁のグリカンにMBLが結合し、補体カスケードを活性化する)が発がんのプログレッションに必要であり、腫瘍外区画のMBLやC3の欠失、あるいは腫瘍細胞でのC3aRノックダウンはどちらも腫瘍の増殖を防ぐことが分かった。さらに、Mbl(別名Mbl2)あるいはC3の欠損マウスでは、マイコバイオームの再プログラム化はPDAのプログレッションを変化させなかった。まとめると我々の研究は、病原性菌類がMBLの活性化を介して補体カスケードを駆動し、PDAを促進することを示している。

