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生物地球化学:大量絶滅からの回復では多様性が生態系の機能と復元力から切り離される
Nature 574, 7777 doi: 10.1038/s41586-019-1590-8
6600万年前、チクシュルーブでの火球衝突によって海洋生態系がほぼ瞬時に崩壊した。海洋食物網の底辺における多様性の壊滅的な喪失がおそらく引き金となって、全ての栄養レベルにわたる連鎖的な絶滅が引き起こされ、海洋の生物地球化学的な機能が著しく破壊されるとともに、特に海面と深海との間の炭素循環の擾乱が生じたと考えられる。絶滅後の期間全体にわたる十分に詳細な生物データが存在しないため、生態系の復元力および生化学的機能がどのように回復したかに関する我々の理解は限られており、生態系の「回復」に要する時間の見積もりには、100年未満から1000万年までの開きがある。今回我々は、1300万年に及ぶナノプランクトンの時系列を用いて、絶滅後の群集では180万年にわたって極めて不安定な状態が続き、その後、復元力の特徴を示すより安定な平衡状態の群集が出現したことを明らかにする。より多様な細胞サイズを有する、この新たな平衡状態の群集への移行が起きたのは、炭素循環の回復および十分に機能性する生物ポンプの存在を示す指標と同時期であった。これらの知見は、生態系の回復と生物地球化学的な循環との間には、これまで移出生産の代理指標から示唆されてきたよりも長いが分類学的な豊富さの回復よりははるかに短い時間スケールにわたって、根本的なつながりが存在することを示唆している。群集の安定性と生物ポンプの効率の両方が再び出現しても種の豊富さは低いままであったという事実は、群集の復元力および生化学的な機能には種数よりも生態学的機能の方が重要であることを示唆している。

