Letter
微生物学:FHL1はチクングニアウイルス感染の主要な宿主因子である
Nature 574, 7777 doi: 10.1038/s41586-019-1578-4
チクングニアウイルス(CHIKV)は、再興アルファウイルスで、蚊刺咬によってヒトに伝播し、筋骨格痛や関節痛を引き起こす。徹底した調査が行われているにもかかわらず、CHIKV感染に重要なヒト細胞因子は分かっておらず、ウイルス病原性の理解や抗CHIKV治療の開発の障害となっている。今回我々は、FHL1(four-and-a-half LIM domain protein 1)がヒトやマウスにおけるCHIKVの増殖許容性や発病に必要な宿主因子であることを突き止めた。FHL1の発現を喪失させると、いくつかのCHIKV株やオニョンニョンウイルスによる感染が抑制されたが、他のアルファウイルスやフラビウイルスによる感染は抑制されなかった。逆に、通常はFHL1を発現しない細胞でFHL1を発現させると、CHIKV感染が促進された。FHL1は、CHIKVのnsP3タンパク質の超可変ドメインと直接相互作用し、ウイルスRNAの複製に不可欠である。FHL1はCHIKV標的細胞で高度に発現していて、特に筋肉に豊富に存在する。機能的なFHL1を欠損しているエメリー・ドライフス型筋ジストロフィー患者から得た皮膚繊維芽細胞や筋細胞は、CHIKV感染に抵抗性であった。さらに、Fhl1ノックアウトマウスでは、CHIKV感染は検出されなかった。まとめると我々の研究は、FHL1はCHIKV感染を可能にする、宿主に発現する重要な因子であることを示しており、nsP3とFHL1の相互作用が抗CHIKV治療を開発するための有望な標的であることを明らかにしている。

