Letter
考古学:先史時代の小児の墓から出土した陶器の哺乳瓶に見つかった反芻動物の乳
Nature 574, 7777 doi: 10.1038/s41586-019-1572-x
授乳や離乳など、小児期の食餌に関する研究は、過去の社会の乳児の死亡率や出生率を理解する上で重要な意味を持つ。乳児の骨のコラーゲンおよび歯の象牙質の試料の窒素安定同位体解析から離乳の時期に関する情報が得られているが、先史時代の乳児がどのような食物を摂取していたのかについてはほとんど知られていない。乳児に食餌を与えるのに使用されていた可能性がある既知最古の土器は新石器時代のヨーロッパで発見されており、こうした器はその後、青銅器時代および鉄器時代を通してより一般的なものになっていった。しかし、液体を注ぎ出すための飲み口を備えたこれらの器は、病人や衰弱した人に食餌を与えるのに使われていたとも示唆されている。本論文では、ドイツ・バイエルン州の青銅器時代と鉄器時代の乳児の墓で発見された、小型の飲み口付きの器3点から得られた有機物残渣に見られる脂質の「フィンガープリント」と、これらの残滓に含まれていた主要な脂肪酸の化合物特異的なδ13C値およびΔ13C値の解析に基づいて、これらの器に入っていた食餌の証拠を示す。得られた結果は、これらの器が、乳児に反芻動物由来の乳製品を与えるのに使用されていたことを示唆している。先史時代の乳児に食餌を与えるため、あるいは離乳のために用いられていた食品についてのこの証拠は、こうした初期の地域社会にとって家畜の乳が重要であったことを裏付けるとともに、先史時代のヒト集団で乳児に食餌を与えるという行動に関して情報を与えるものである。

