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合成生物学:ロバストで完全な適応のための、生体分子からなる普遍的な積分フィードバック制御装置
Nature 570, 7762 doi: 10.1038/s41586-019-1321-1
恒常性は、生物学で繰り返し出てくるテーマであり、調節された変量が環境の変動にロバストに(系によっては完全に)適応することを保証する。ロバストな完全適応という特性を自然界の回路で達成するのには、積分制御、すなわち数学的な積分を行って構造的にロバストな調節を実現する負のフィードバック戦略が使われている。この戦略は利益をもたらすにもかかわらず、生細胞での積分フィードバックの合成による実現は、必要な生物学的計算が複雑であるために達成が難しい。今回我々は、積分フィードバックを実現する、生体分子からなる単一の基本的な制御装置トポロジーが存在し、これがゆらぎの多い動態を示す任意の細胞内ネットワークでのロバストな完全適応を達成することを数学的に証明した。この適応的性質は、単一細胞群の集団平均に対して、また時間平均に対して保証される。この概念に基づいて、我々は生細胞で遺伝的操作を行い、合成した積分フィードバック制御装置を導入して、その同調性と適応特性を実証した。さらに、大腸菌(Escherichia coli)で増殖速度の制御に適用することで、我々の積分制御装置がロバストさを実現する本来的な能力を持つことが明らかになり、不確かなネットワーク中で生物学的変量を調節するための多用途の制御装置として使える可能性がはっきりした。今回の結果は、生物系の動態を操作できる人工制御装置作製のための概念的かつ実用的手段を、サイバージェネティクス(cybergenetics)分野にもたらすものである。

