材料科学:高温超伝導電磁石を用いて生成した45.5テスラの直流磁場
Nature 570, 7762 doi: 10.1038/s41586-019-1293-1
強い磁場は、医学(磁気共鳴イメージング)、薬学(核磁気共鳴)、粒子加速器[大型ハドロン衝突型加速器(LHC)など]、核融合装置[例えば、国際熱核融合実験炉(ITER)]といった多くの分野や、その他の多種多様な科学的用途や工業的用途に必要である。約20年の間、達成可能な最高の直流(DC)磁場は45テスラ(T)であった。しかし、そうした高磁場には、11.4 Tの低温超伝導コイルの内部に31 MW、33.6 Tの常伝導電磁石を使用する必要があるが、このような大電力常伝導電磁石を利用できる施設は世界でもわずかである。これに対して、超伝導電磁石は、必要電力が小さいため広く普及している。今回我々は、31.1 Tのバックグラウンド常伝導電磁石の内部に14.4 Tの磁場を生じさせる高温超伝導コイルを用いて、45.5 Tの直流磁場を得たことを報告する。45.5 Tの磁場は、我々が知る限り、これまで達成された中で最高の磁場である。今回の電磁石には、厚さ30 μmの基板上にREBCO (REBa2Cu3Ox、RE = Y, Gd)をコーティングした超伝導テープ線が用いられており、これによってコイルが著しく小型化され、1260 A mm−2という非常に高い巻線電流密度で動作が可能になっている。そうした高い電流密度での動作が可能になるのは、今回の電磁石が無絶縁で巻かれているからに他ならない。これにより、超伝導状態から常伝導状態への安全な高速クエンチが可能になる。今回の45.5 Tの試作電磁石は、低温超伝導電磁石で生じる磁場の2倍の磁場を達成することによって高磁場銅酸化物超伝導電磁石に関する予測を実証するものである。

