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神経科学:個々の脳オルガノイドはヒト大脳皮質の細胞多様性を再現性よく形成する
Nature 570, 7762 doi: 10.1038/s41586-019-1289-x
ヒト脳の発生および疾患の基本的理解には、ヒト脳の実験モデルが必要である。ヒト脳オルガノイドはこの目的において前例のない可能性を有するが、オルガノイド間で大きなばらつきがあることが問題となっている。そのため、ヒト脳の発生過程が、胚形成の状況以外でも、体内組織と同程度の再現性を持って生じ得るのかどうかという疑問が提起されている。今回我々は、背側前脳のオルガノイドモデルが、ヒトの大脳皮質に適した多様性に富む細胞タイプを確実に作り出せることを示す。21個のオルガノイドから単離した16万6242個の細胞について単一細胞RNA塩基配列解読解析を行ったところ、95%のオルガノイドで、体内で発生した脳と実質上区別のつかない細胞タイプの一群が生じたことが分かった。これらの細胞タイプは体内の脳と同様の発生軌跡をたどり、オルガノイド間のばらつきの度合いは別個体の脳間に見られるばらつきと同等であった。さらに、異なる幹細胞株に由来するオルガノイドでは、生み出された細胞タイプに一貫した再現性が認められた。今回のデータは、中枢神経系が持つ複雑な細胞多様性の再現性のある発生には、胚という状況は必要でないことを実証するとともに、最終的な細胞アイデンティティーの確立は、多様な幹細胞起源や増殖環境からも生じ得る高度に拘束された過程であることを示している。

