化学:定量的同位体測定による厳密な電気化学的アンモニア合成プロトコル
Nature 570, 7762 doi: 10.1038/s41586-019-1260-x
再生可能電力を用いた温和な条件下での窒素からの電気化学的なアンモニア合成は、工業的アンモニア製造で主流となっている、エネルギーを大量に消費するハーバー・ボッシュ法に代わる魅力的な代替法である。しかし、この電気化学的代替法は、大きな科学技術的課題に直面しており、これまでに報告されている大半の実験的研究では、低い選択性と変換率しか達成されていない。通常、生成するアンモニアの量は非常に少ないため、空気、ヒトの呼気、イオン伝導膜に存在するアンモニアや、窒素ガス流中や大気中、さらには触媒自体の中にすら存在することが多い不安定な窒素含有化合物(例えば、硝酸塩、アミン、亜硝酸塩、窒素酸化物)から生成されたアンモニアによる汚染ではなく、アンモニアが電気化学的な窒素固定によって生成されたと断定することができない。こうした実験的アーティファクト源は認識され、管理され始めているが、効果的な電気化学的窒素還元過程を開発する協調的取り組みは、反応に関するベンチマークプロトコルや、汚染源の特定とその後の除去または定量化を目的とした一連の標準対照実験から恩恵を受けると思われる。今回我々は、窒素からアンモニアへの電気化学的還元の確実な検出と定量化を可能にする、15N2を用いる厳密な手順を提案する。我々は、各種汚染源の重要性を実験的に実証し、窒素ガスから不安定な窒素含有化合物を除去する方法を示すとともに、汚染と同位体測定コストの両方を減らすために15N2ガスを循環させて定量的同位体測定を行う方法を示す。我々は、このプロトコルに従うことで、水性媒体中でこの反応に最も有望な純金属触媒を用いたときにアンモニアが生成しないことを見いだすとともに、テトラヒドロフラン中でリチウム電着を用いたアンモニア合成の確認と定量化に成功した。今回の厳密なプロトコルは、誤検出が文献に載ることを防ぐのに役立つはずであり、ひいてはこの分野が窒素からアンモニアへの実用的な電気化学的還元に向けて実現可能な経路に重点を置いて取り組むことを可能にすると考えられる。

