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触媒:二ヨウ化サマリウムとアルコールまたは水を用いたモリブデン触媒によるアンモニア合成
Nature 568, 7753 doi: 10.1038/s41586-019-1134-2
窒素肥料の原料としてアンモニアが用いられるため、窒素ガスからのアンモニア合成は最も重要な工業プロセスの1つとなっている。現行の主なアンモニア合成法はハーバー・ボッシュ法だが、超高温高圧条件下で実施されるため大量のエネルギーを消費する。別のアンモニア合成法に、遷移金属触媒を用いて窒素ガスを還元する方法があり、この反応系では、還元剤としては通常メタロセンやカリウムグラファイトが用いられ、プロトン源としてはピリジン共役酸やその関連化合物が用いられる。次世代型の窒素固定システムを開発するには、これらの試薬は安価で容易に入手でき、環境に優しいものでなければならない。今回我々は、二ヨウ化サマリウム(SmI2)とアルコールまたは水を組み合わせると、常温常圧下においてモリブデン錯体が窒素固定反応を触媒できることを報告する。この触媒反応系では、触媒当たり最大4350当量のアンモニアを、約117 min−1の触媒回転頻度で合成できる。これまでに報告された反応系と比較すると、アンモニアの生成量では10倍程度、生成速度は100倍程度向上している。また、生成速度の値は、ニトロゲナーゼ酵素を用いたときの値に匹敵する。この高い反応性は、SmI2に配位したアルコールや水のO–H結合が弱まることでプロトン共役電子移動過程が可能になり、達成される。この反応は工業スケール用には不向きだが、今回の研究結果は、触媒的窒素固定に関してさらなる研究の機会があることを示している。

