Letter

量子物理学:プログラム可能なリュードベリシミュレーター上での量子キッブル・ズレック機構と臨界ダイナミクス

Nature 568, 7751 doi: 10.1038/s41586-019-1070-1

量子相転移(QPT)には、量子ゆらぎに駆動される異なる物質状態間の変換が関与している。こうしたゆらぎは、転移点の周りの量子臨界領域で支配的な役割を果たし、この領域のダイナミクスはQPTに伴う普遍的な特性に支配されている。古典的な熱駆動相転移に伴う時間依存現象は、初期宇宙からボース・アインシュタイン凝縮体までさまざまな系で幅広く研究されているが、孤立した非平衡量子系における実時間の臨界ダイナミクスの解明はまだ難しい。今回我々は、プログラム可能な相互作用を有するリュードベリ原子量子シミュレーターを使って、複数の異なるQPTに伴う量子臨界ダイナミクスを調べた。QPTを横切る際の空間相関の発達を調べることによって、我々は、イジング型のQPTに対する量子キッブル・ズレック機構(QKZM)を実験的に実証し、スケーリング普遍性を調べるとともにQKZMの予測を超える補正を観測した。次に、この手法をカイラル時計モデルに伴う臨界指数の測定に使って、これまで解明されていなかったエキゾチックな系に関する新しい知見を得た。これは、臨界現象の精密な研究、格子ゲージ理論のシミュレーション、量子最適化への応用への扉を開くものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度