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ウイルス学:CCR5Δ32/Δ32造血幹細胞移植後のHIV-1感染の寛解

Nature 568, 7751 doi: 10.1038/s41586-019-1027-4

HIV-1感染の治癒は10年前に1例が報告されているだけで、いまだに達成できていない。「ベルリンの患者」として知られるこの患者は、急性骨髄性白血病を治療するために、HIV共受容体CCR5にホモ接合の変異(CCR5Δ32/Δ32)があるドナーを用いた同種造血幹細胞移植(HSCT)治療を2回受けた。各HSCTの際には放射線全身照射が行われた。この症例で見られた長期HIV寛解に関与したのが、どの治療法なのか、それとも患者の持つ特性なのかは不明である。今回我々は、侵襲性と毒性がより低い手法によってHIV-1感染が寛解する可能性があることを示す。この症例では、HIV-1に感染した成人男性患者はホジキンリンパ腫治療のためにCCR5Δ32/Δ32ドナー由来の細胞を用いて同種HSCTを受け、その後、腸で軽度の移植片対宿主病を発症した。抗レトロウイルス療法は移植の16か月後に中断された。HIV-1寛解は、その後さらに18か月を超えて維持されている。血漿HIV-1 RNAはミリリットル当たり1コピー以下の濃度であって検出されず、HIV-1 DNAは末梢CD4 Tリンパ球中では検出されなかった。末梢CD4 Tリンパ球の定量的ウイルス増殖アッセイは、総計で2400万個の静止期CD4 T細胞を使用して行われ、再活性化が可能なウイルスは見られなかった。細胞移植前の患者のCD4 T細胞由来HIV-1 DNA中にCCR5指向性ウイルスは見つかったが、CXCR4指向性ウイルスは見つからなかった。細胞移植後に末梢血から単離されたCD4 T細胞はCCR5を発現しておらず、ex vivoでCXCR4指向性ウイルスに対してのみ感受性だった。HIV-1 Gag特異的CD4 T細胞およびCD8 T細胞応答は細胞移植後に消失したが、サイトメガロウイルス特異的応答は検出された。同様に、HIV-1特異的抗体とアビディティーは、細胞移植後にベルリン患者での値と同程度のレベルにまで低下した。治療中断後18か月では、この患者が治癒したと結論するには時期早尚だが、これらのデータは、ホモ接合のCCR5Δ32のドナー細胞を用いる、強度軽減移植前治療後の1回の同種HSCTのみで放射線照射を行わないこの方法が、HIV-1寛解を達成するのに十分である可能性を示唆しており、この知見はまた、CCR5発現の防止に基づくHIV-1寛解戦略開発のためのさらなる裏付けとなる。

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