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分子生物学:ゲノム不安定性により引き起こされる炎症による雌に偏った胚致死
Nature 567, 7746 doi: 10.1038/s41586-019-0936-6
ゲノム不安定性は、チェックポイント活性化、老化や炎症といった細胞応答を引き起こすことがある。ゲノム不安定性は、細胞培養やがんの枠組みにおいて広範囲に研究が行われてきたが、急速な細胞増殖が起きている胚発生期におけるその影響については、ほとんど分かっていない。本論文では、ヘテロ六量体のMCM(minichromosome maintenance)複合体(MCM2~MCM7からなるDNA複製ヘリカーゼ)の変異はゲノム不安定性の原因となり、雌のマウスでは胚致死性への感受性が雄に比べて著しく高くなることを報告する。この偏りは、X染色体不活性化の異常や、複製ライセンス化の差異、X染色体とY染色体のサイズの違いではなく、「雄らしさ」に起因するものであり、導入遺伝子による性転換やテストステロン投与によって、XX胚を救済することができる。外因性あるいは内因性のテストステロンの胚を保護する能力は、その抗炎症特性と関連があった。非ステロイド系の抗炎症薬であるイブプロフェンは、Mcm遺伝子群だけでなくFancm遺伝子に変異を持つ雌の胚も救済した。Fancm変異体胚ではMCM変異体と同様に、複製フォーク修復の低下によってゲノム不安定性レベル(微小核を持つ細胞数として計測)が増加している。加えて、抗炎症性IL10受容体の欠損は、Mcm4Chaos3ヘリカーゼ変異体で合成致死をもたらした。我々の実験から、発生期においては、DNA複製と関連したDNA損傷によって炎症が誘導され、雌の胚が選択的に致死となるが、それは雄の胚が高レベルの内因性テストステロンにより保護されているためであることが明らかになった。

