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心血管生物学:一重項酸素分子が炎症における血管緊張と血圧を調節する
Nature 566, 7745 doi: 10.1038/s41586-019-0947-3
一重項酸素分子(1O2)の果たす役割は、光合成植物、細菌、菌類ではよく知られているが、哺乳類では知られていない。化学的に生じた1O2はアミノ酸の1つトリプトファンをN-ホルミルキヌレニンと呼ばれる重要な代謝物前駆体へと酸化するが、トリプトファンからN-ホルミルキヌレニンへの酵素による酸化では、ジオキシゲナーゼファミリーの酵素が反応を触媒する。それらの酵素の中にインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1があり、炎症条件の下では、ヘムを含むこの酵素が動脈の内皮細胞で発現して、血圧の調節に寄与している。しかし、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1が1O2を生産するかどうか、これが血圧の調節に関わっているのかどうかは、これまで不明であった。今回我々は、動脈のインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1が、1O2の生成を介して血圧を調節することを明らかにする。この酵素が過酸化水素の存在下で1O2を生産すること、またそれに伴い、このジオキシゲナーゼ活性のこれまで知られていなかった酸化的活性化によって、L-トリプトファンが立体選択的に酸化されて三環のヒドロペルオキシドを生じることが判明した。このトリプトファン由来のヒドロペルオキシドはin vivoでシグナル伝達分子として作用し、動脈弛緩や血圧低下などを引き起こす。この作用はプロテインキナーゼG1αのCys42に依存する。これらの知見によって、1O2が哺乳類において、血管の緊張と血圧を調節する作用を持つアミノ酸由来のヒドロペルオキシドを形成することにより、炎症条件下で病態生理学的役割を果たしていることが明らかになった。

