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物性物理学:擬一次元ビスマスヨウ化物における「弱い」トポロジカル絶縁体状態
Nature 566, 7745 doi: 10.1038/s41586-019-0927-7
この10年間のトポロジカル物質研究における大きな進展は全て、Z2トポロジカル絶縁体(内部は絶縁体であるが表面は導電性がある物質)の発見によってもたらされた。三次元の場合、トポロジカル絶縁体は「強い」または「弱い」のどちらかに分類され、その理論予測後間もなく、実験で「強い」トポロジカル絶縁体が確認された。これに対し、「弱い」トポロジカル絶縁体(WTI)では、トポロジカル表面状態が実際の三次元結晶で検出が困難な特定の側面でしか現れないため、その実験的な確証はこれまでなかった。今回我々は、ビスマスヨウ化物β-Bi4I4におけるWTI状態の実験的証拠を提示する。特に、この結晶は、ファンデルワールス力で結合しているため上面と側面の両面で劈開可能であり、WTIを実験的に実証するために長らく待望されてきた特徴を持つ。我々は、WTI状態の決定的証拠として、擬一次元ディラックトポロジカル表面状態が側面((100)面)に現れている一方で、上面((001)面)にはトポロジカル表面状態が現れていない(トポロジー的に「暗い」)ことを見いだした。また、室温付近の温度で生じるβ相からα相への結晶転移に伴う、非自明なWTIから通常の絶縁体へのトポロジカル相転移が明らかになった。今回発見されたWTI相は三次元的に積層した量子スピンホール絶縁体と見なすことができるため、後方散乱から保護された、指向性が高く高密度なスピン流を活用する技術の基盤を与えるものとして期待できる。

