Letter
構造生物学:カリシウイルスVP2は受容体への結合後に入口に似た集合体を形成する
Nature 565, 7739 doi: 10.1038/s41586-018-0852-1
多くのウイルスは、感染を開始するためにまず宿主細胞の受容体に結合してエンドサイトーシスを誘発し、それによって細胞に入り込む。しかし、エンベロープのないウイルスがエンドソームから脱出する機構はほとんど解明されていない。今回我々は、ネコカリシウイルスについて、修飾されていない状態と、その宿主細胞側の受容体であるネコJAM-A(junctional adhesion molecule A)の可溶性断片で標識された状態の両方の、近原子分解能のクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を示す。カリシウイルスと受容体との結合後に、VP2(あらゆるカリシウイルスにコードされているが数量的には多くないカプシドタンパク質)が、入口に似た形で珍しい三回対称軸を持つ大型の集合体を形成することが分かった。この集合体は、修飾されていないウイルス粒子には見られず、12個のVP2で構成され、VP2の疎水性のN末端がウイルス粒子の表面から突き出す形に配置されている。この入口部位での局所的な構造再編成がキャプシド殻での小孔の開口につながる。この入口に似た集合体が、カリシウイルスゲノムをエンドソーム膜を通過させて宿主細胞の細胞質へと運ぶチャネルとして働き、それによって感染が開始されると、我々は考える。VP2は感染性ウイルスの産生に不可欠であることがこれまでに知られていたが、今回の知見はその構造と機能についての手掛かりをもたらすもので、カリシウイルス科(Caliciviridae)についての解明を進めるのに役立つだろう。

