分子生物学:SETD3は原発性難産を防止するアクチンヒスチジンメチルトランスフェラーゼである
Nature 565, 7739 doi: 10.1038/s41586-018-0821-8
50年以上前から、哺乳類のアクチンの73番目のヒスチジン(His73)にメチル化が起こることが知られている。His73のメチル化は、いくつかのモデル動物や植物で保存されているなどさまざまな種で広く見られるにもかかわらず、その機能も、この修飾を行う酵素も分かっていない。今回我々は、SETD3(SET domain protein 3)がアクチンHis73の生理的なメチルトランスフェラーゼであることを突き止めた。構造研究から、相互作用の大規模なネットワークによってアクチンペプチドがSETD3の表面に保持され、His73が触媒ポケット内に正しい向きで配置されてメチル基転移が促進されるようにしていることが明らかになった。His73のメチル化は、アクチン単量体上でのヌクレオチド交換速度を低下させ、アクチンフィラメントの組み立てを中程度に加速した。SETD3を欠損したマウスでは、複数の組織でアクチンHis73のメチル化が完全に失われており、定量的プロテオミクス解析からは、アクチンHis73のメチル化がSETD3の検出可能な唯一の生理的基質であることが明らかになった。SETD3欠損雌マウスでは、分娩促進薬に抵抗性の原発性母体性難産のため、一腹産仔数が激減した。また、初代ヒト子宮平滑筋細胞においてSETD3を除去すると、刺激誘発性収縮が障害された。まとめると我々の結果は、哺乳類のヒスチジンメチルトランスフェラーゼを特定するとともに、平滑筋の収縮性調節におけるSETD3とアクチンHis73のメチル化の非常に重要な役割を明らかにしている。我々のデータはまた、タンパク質のヒスチジンメチル化が一般的な調節機構として機能するという、より広範な仮説も裏付けている。

