免疫学:組織常在型記憶CD8+ T細胞は皮膚において黒色腫–免疫平衡を促進する
Nature 565, 7739 doi: 10.1038/s41586-018-0812-9
免疫系は、悪性細胞の除去と、根絶に抵抗するがん細胞の増殖や拡散の抑制という2つの様式により、腫瘍発生を抑制できる。後者は、がん–免疫平衡と呼ばれ、この平衡は長期間、最長で数十年間にわたって維持され得ることが臨床データや実験データから示唆されている。がんは上皮層に起源があることが最も多いが、このような組織区画においてがん–免疫平衡を維持する免疫応答の特性や時空間的動態は解明されていない。今回我々は、移植可能な皮膚黒色腫のマウスモデルを用いて、組織常在型記憶CD8+ T細胞(TRM細胞)が、皮膚の表皮層に限定された持続的な黒色腫–免疫平衡を促進することを示す。黒色腫細胞を移植されたマウスの一部(~40%)では、黒色腫細胞の経皮接種後長期間にわたり巨視的な皮膚病変が見られず、この自然に生じたがん制御は腫瘍特異的な表皮CD69+ CD103+ TRM細胞の発生と相関していた。対照的に、TRM形成が見られないマウスは、より腫瘍を発生しやすかった。巨視的レベルでは腫瘍が見られなかったマウスでも、皮膚の表皮層には細胞接種後長期間にわたって黒色腫細胞が存在することが多く、生体内イメージングから、これらの細胞はTRM細胞によって動的に監視されていることが明らかになった。TRM細胞が黒色腫監視に担う役割と一致して、黒色腫接種前に生じていた腫瘍特異的TRM細胞は、再循環しているT細胞とは独立に腫瘍発生を顕著に防いでいた。さらに、TRM細胞を除去すると、不顕性の黒色腫を持つマウスの一部(~20%)で腫瘍の増殖が開始され、TRM細胞はがんのプログレッションを能動的に抑制できることが実証された。我々の結果から、TRM細胞は、がん–免疫平衡の維持を介して皮膚における無症状の黒色腫の監視に基本的な役割を担っていることが明らかになった。そのため、これらの結果は、今後の抗がん免疫療法の標的として、このようなTRM細胞を研究する強力な推進力になる。

