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物性物理学:Cd3As2におけるワイル軌道に基づく量子ホール効果

Nature 565, 7739 doi: 10.1038/s41586-018-0798-3

数十年前に発見された量子ホール効果は、物性物理学において最も研究されている現象の1つであり続けており、トポロジカル相、強電子相関、量子コンピューティングなどの研究分野と関連がある。量子ホール効果の特徴である量子化された電子輸送は通常、カイラルエッジ状態、すなわち二次元電子系が高磁場にさらされると現れるバリスティック伝導チャネルから生じる。しかし、二次元系を単に積層することなく、量子ホール効果を高次元へ拡張できるかどうかは分かっていない。本論文では、三次元トポロジカル半金属Cd3As2ナノ構造体におけるワイル軌道に基づく、新型の量子ホール効果の存在を示す証拠を報告する。ワイル軌道は、バルクを通る磁場に沿った一次元カイラルランダウ状態によって連結された試料の対向する表面のフェルミアーク(開いた円弧状の表面状態)からなる。このバルクを通る輸送から、積層した二次元系に比べて余分で、試料の厚みに依存する、ワイル軌道の量子位相への寄与が生じる。その結果として、バルクであってもカイラル状態が出現し得る。我々は、こうした量子位相の変化を測定し、バルク中の関連するカイラルモードを探索するため、さまざまな厚さのくさび形をしたCd3As2ナノ構造体を使って、輸送実験を行った。その結果、量子ホール輸送が試料の厚さによって大きく変化することが見いだされた。ランダウ準位の、磁場の強さや方向、試料の厚さに対する依存性は、ワイル軌道に関する修正リフシッツ–オンサーガー関係に基づく理論予測と一致する。このように、トポロジカル半金属ナノ構造体によって、調整能を高めた三次元材料の量子ホール物理を研究する方法が得られる。

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