Letter
光物理学:超高速アインシュタイン–ド・ハース効果
Nature 565, 7738 doi: 10.1038/s41586-018-0822-7
アインシュタイン–ド・ハース効果は、外部磁場を使って磁化方向を反転することによって、強磁性体のそろった電子スピンに伴う角運動量を力学的な角運動量へ変換できることを実証した、歴史的に重要な実験で観察された。この角運動量移動の時間スケールは、これに関連する問題である。いくつかの金属強磁性体を強く光励起すると、100フェムト秒より短い時間スケールで磁化が低下することが、実験によって明らかになっている。これが、超高速消磁と呼ばれる現象である。この過程の微視的機構は盛んに議論されているが、角運動量がこのようなフェムト秒時間スケールでどこへ行くのかという重要な問題の答えは得られていない。本論文では、フェムト秒時間分解X線回折を使って、強磁性の鉄をレーザーで消磁すると、スピン系から失われた角運動量の大半がサブピコ秒の時間スケールで格子へ移動し、横ひずみ波が放射されて表面からバルクへ伝搬することを示す。X線データの簡単なモデルをシミュレーションと光学データに合わせ込むことにより、角運動量の移動が200フェムト秒の時間スケールで起こり、移動する角運動量はスピン系から失われる角運動量の80%に相当すると見積もられた。今回の結果は、格子との相互作用が、この系の超高速消磁過程に本質的な役割を果たしていることを示している。

