材料化学:コンホメーション可変の多孔質材料による構造とゲスト取り込みの化学的制御
Nature 565, 7738 doi: 10.1038/s41586-018-0820-9
金属有機構造体(MOF)は、有機リンカーを金属ノードに結合させることによって形成される結晶性の合成多孔質材料であり、剛直なものもあれば柔軟なものもある。ゼオライトや剛直なMOFは、それらの化学的性質と構造によって決まる細孔内表面の形状と機能を通して細孔内のゲスト分子の配置や化学的性質を制御できることから、収着、分離、触媒反応に広く応用されている。ゼオライトや剛直MOFの構造は、非常に機能的だが、単一のエネルギー極小を持つエネルギー地形に対応している。これに対して、タンパク質は、ポリペプチドの結合回転を使って複数の準安定構造間で遷移が起こることによって機能する。各準安定構造はコンホメーションエネルギー地形の複数の極小の1つに当たり、タンパク質と相互作用する分子の化学的性質に従って構造が選択され得る。こうした構造変化は、コンホメーション選択(タンパク質に特有のより高いエネルギー極小が、小分子が結合することによって安定化する)や誘導適合(小分子が存在しなければ極小にならない構造が、小分子によってタンパク質に強いられる)の機構を通して実現される。今回我々は、柔軟なMOFが、ペプチドリンカーの共有結合軸回りの回転によって、異なる9つの結晶構造を取るように変化し得ることを示し、複数の構造的極小を特徴とするコンホメーションエネルギー地形を持つことを明らかにする。MOFによる小分子ゲストの取り込みは、ペプチドのコンホメーション変化を誘導することによって化学的に引き起こすことができる。MOFは、このコンホメーション変化によって、エネルギー地形においてゲスト収着に関して不活性な極小状態から活性な極小状態へと変換される。柔軟な有機リンカーのコンホメーションを化学的に制御することによって、開骨格材料の細孔形状や細孔内部の化学的性質、ひいては機能を調節する手段が得られる。

